17世紀後半のヨーロッパではハンカチは庶民が持つことはできないほどの贅沢品で、ハンカチで家柄が分かるとまで言われていたほどの豊かさの証。豪華なアクセサリーのようなものでした。
貴族(セレブ)たちは、ハンカチの豪華さやデザインの珍しさを競い、それは次第にエスカレート…
レースの付いたもの、刺繍の付いたもの、また卵型や三角形など変形のものもあったといいます。
ところが1785年、マリーアントワネットの進言でフランス王国ルイ16世が「ハンカチは全て正方形にすべし」という法令を布告させ、国民は正方形のハンカチしか持てないようにさせました。
なぜいきなりこんな法律をつくったのか？
これには諸説あるようで…
説① 自分だけが豪華で個性的なハンカチを持ちたかったから。
豪華なハンカチを見せびらかすのか流行するなか、マリーアントワネットは誰よりもお洒落でいたかったのです。
そこで、自分だけがいろんな形の個性的なハンカチを持つために、周りには正方形のハンカチしか持てなくした、という説。
説② 世の中にいろいろな形のハンカチがあふれかえっているのを煩わしく思ったから。
1780年代にはマリーアントワネットは派手なものに飽き、簡素なものを好みだしたといわれています。
世間でたくさんの装飾の付いた変形のハンカチが流行っていることに嫌気がさした、という説。
どちらにせよ、彼女はファッションリーダーでもあったので、その彼女が正方形のハンカチを持つことで、新たなトレンドとして流行したかもしれませんね。
また正方形のハンカチは、使ってみると折りたたんで持ちやすい、胸ポケットにも入れやすいと国民の評判が良かったので、
その結果、正方形のハンカチは世界中に広まり、現在では正方形のハンカチが王道となりました。
ちなみにこの出来事に由来して、マリーアントワネットの誕生日である11/2に近い祝日の11/3(文化の日)は「ハンカチーフの日」となっています。