アフリカンバティックとは?

アフリカンバティックとは?

「アフリカンバティック」と呼ばれる布をご存知ですか?

その色鮮やかで個性的なデザインは、世界中のデザイナーやクリエイターを魅了し、ファッションやインテリアなど多様な分野で活用されています。

しかし、実はこの布がアフリカ発祥ではないことをご存じでしょうか?

アフリカンバティックのルーツ

アフリカンバティックとは、西アフリカの民族衣装に使われる「ろうけつ染め」の生地のこと。
生地を染める際にろう(ワックス)を使用する技法から「ワックス・プリント」とも呼ばれています。

ところが、このアフリカンバティックが誕生したのは、実はアフリカではなくオランダ。
1800年代、植民地支配を行っていたオランダが、インドネシアで伝統的な「ジャワ更紗(さらさ)」の染め技法を持ち帰り、それを量産できる形に改良して西アフリカ諸国に輸出したことから広まったのです。
その後、色鮮やかなワックスプリントはたちまち人気になり、1950年代までには西アフリカ〜中央アフリカ全域で流通するようになりました。

アフリカンバティックの種類

アフリカンバティックには、製法や特徴によって大きく2種類に分けられます。

  1. ワックス・プリント
    伝統的なろうけつ染めの技法を用いたもので、手間暇がかかる高品質な生地です。
    生地の両面から染め上げるため、どちらから見ても柄が美しく、色褪せしにくいのが特徴。
    鮮やかな色使いと、ろうの亀裂による独特の風合いが魅力です。アフリカの強い日差しや乾燥した気候にも強く、長持ちすることから高級布として扱われています。

  2. ファンシープリント
    現代ではデジタルプリントやローラープリントを使った「ファンシープリント」が主流です。
    この方法ではろうは使わず、大量生産が可能でコストも抑えられます。
    デザインは時代のトレンドを反映したものが多く、カジュアルに楽しめる一方、品質はワックス・プリントに比べると劣ります。
    手軽に手に入るため、日常使いの布として人気があります。

アフリカンバティックの魅力

アフリカンバティックの柄には、それぞれ独自の意味やストーリーが込められています。
たとえば、家族愛や成功への願いなど、生活の中で大切にされる価値観を反映したものが多く、布を通じてアフリカの文化や人々の思いを感じることができます。

現在では、日本を含む世界中で「アフリカンバティック」の名で親しまれ、ファッションデザインやインテリア、アート作品にまで幅広く採用されています。
どちらの製法であれ、その鮮やかな色彩とユニークな柄は、見る人を惹きつけてやみません。

アフリカンバティックは、単なる布ではなく、歴史や文化、そして人々の思いが込められた「物語を持つ生地」です。
その背景を知ることで、さらにその魅力を感じられるのではないでしょうか。

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